2021年1月25日月曜日

野球離れは坊主頭が理由じゃない

 ダルビッシュが、


「高校野球の体罰も多かったし、高校生みんな坊主だし…誰がこの時代に坊主にしたい?って話だと思うんですよ」


と、テレビでコメントしたのがネットニュースになっていた。中学校野球の現場では、すでにこの天秤は経験している。坊主頭に合理性がない上に時代錯誤。校則の話にしていくとややこしいので今回は野球の慣習の話にとどめる。


野球部の顧問の界隈で、どこどこが強いとかいう話は2番、3番の話題。

「今年何人入った?」「いま部員どれくらいいる?」

これがここ数年のトレンド。中学生の中ではもう野球は選ばれるスポーツではない。野球はどうも根性とか、漢字をふんだんに使ったTシャツとかがイメージとしてある。汗だくで甲子園を目指す子たち。それはそれでいい。


中学校では髪を伸ばしていた子も、高校で野球をするというとすぐに髪を切る。何のためらいもなしに。甲子園というごほうびがそうさせる。これは大人もそう。指導者、保護者、周りの人たちがみんな通過儀礼というふうに考えている。


野球ってそんな神聖な、崇め奉られるスポーツなのか。


そう思うとあだち充の「タッチ」は預言書のようだ。あれくらいドライな感じが現代の子たちの感覚に近い。一瞬だけ踏ん張る。そういう力の入れ方。甲子園も一つの大会に過ぎない。でも、もうあんなコンテンツになってしまっているので取り返しがつかなくなっている。


僕は特にダルビッシュの信奉者ではないが、彼の発言はいつもおもしろいなと思う。そうだそうだと、うなずいているのは指導者じゃなくて生徒、子どもたちではないか。もう子どもたちは大人たちの欺瞞にはすっかり気がついているのだ。


一方で、本当に心血注いで甲子園を目指す。僕はこういうのはあっていいと思っている。自分の限界に挑戦する体験。そういう体験をする場としての装置。その意味で野球に打ち込むのは大いに賛成。自分で決めたことなのだから。ここは外野の「とやかく」に耳を貸さず、一心不乱にやったらいい。坊主がどうの、という次元ではない。それはそれであっていい話。


野球が本当におもしろいもので、みんなが大好きなものに変わるためにはボトムアップ。公園でやる野球が一番おもしろいって言われているようじゃ駄目だ。


野球離れは坊主頭が理由じゃない。もっとおもしろいもので世の中はあふれているし、古臭いスポーツというイメージが強い。野球じゃなくてもいいから、何でも打ち込んでみると目の前に壁が現れる。これとどう対峙するのか、自分はどうやってこれを乗り越えるのか。ここと真剣勝負していないなら、坊主がどうのは議論の筋とは違ってくる。じゃあ違うもので勝負すればいいのだから。おそらく、ダルビッシュは門前払い的な野球の旧態依然としている、君臨しようとしている、その姿を戒めようとしているのだ。


自分を磨ける場をどう用意するか。野球をやってみたいと思う子が時代遅れの大きな楯の前に、あきらめて違うものに目を向けてしまうのは悲しい。でも、今となればそれも必然。桑田氏の言葉で言う「現実はパーフェクト」だ。なるべくしてなっている。先の高校サッカーの選手権で決勝での、ベンチのあり方が対照的だったとネットニュースで見た。この手の現象へのレスポンスは実に正直。時代が許さなくなってきたのだろう。


子どもの代弁者としてのトップアスリートがもっと増えてくればいいなと、切に願います。

2021年1月24日日曜日

部活動のことはこっちで

 もう1年以上も更新していませんでした。

コロナでも野球部はしっかり活動しています。


さて、ここに来ていろいろと変化がありました。

「部活動指導の心得」(明治図書)という2冊めの本を出し、日本部活動学会の理事を辞任し、学会も退会。時間とともに考え方も変わるものです。


最近どこにも書いていないので、ここで。僕の2冊めの話です。


1冊めの「部活動指導スタートブック」は4刷までおかげさまで読んでいただき、少しはお困りのみなさんに貢献できたと思います。


2冊め。どこまでお読みいただけるかな、1冊めくらいは…、と思っていたのですが、2刷で今のところとどまっています。おそらくこれ以上は伸びないでしょう。

ここ数年の僕の考え方をうまくまとめられたと思っています。しかし、書いていることは方法ではありません。しかも、少し部活動に携わった方なら「もっと現場にすぐ使えるものにしろよ」とか「どうしたら勝てるか」とか、そういうものを求められるでしょう。でも、僕はそういうことには無縁で、地道にやってきました。


長くやっている先生は自分の考え方を変えることは容易ではありません。僕もここに来て、このブログに書いてあることを赤面しながら読むに到ります。恥ずかしい限りです。


2冊めは発展途上だった僕の考え方の萌芽をしっかりと捉えたものになっています。古本でもいいので、この記事をご覧になった方はぜひとも読んでいただきたいなあと思います。割とうまく書いてます(笑)


大きな声も、バントも最近全くやっていません。これもまだ勉強中。


大会のたびにベンチ裏で交わされる監督たちの戦術論に最近疲れてきて、支度が終わればすぐに辞すようにしています。悪口とかではなく、僕は自分の考えに素直にしたがい、子どもたちと一緒にいたいと思っています。いずれこれももっと具体的に話せる日がくると思います。(本を書くとかじゃありません)。


Facebookに上げていた部活関連の投稿はこちらにしていこうと思います。更新も増やします。よろしければ読んでください。


徳は孤ならず、必ず隣あり。これでまた頑張っていきます。

高校版 修学旅行に行ってきた

二泊三日の修学旅行を終えた。よかった。誰も損をしない行事になった。 ちょっと昔、修学旅行委員長に推した生徒がいた。引っ込み思案、でも、力がある。彼はやりたそうだったので、僕が推した。八面六臂、気配りや決断力があった。その彼をレクレーション大会のあと、みんなでサプライズで感謝の言葉...