2016年12月12日月曜日

「野球離れと部活動」

最近、Facebookのタイムラインに一日に1回は「野球離れ」という話題が出る。確かに野球は人気がなくなってきた。大阪市でも部員不足が深刻な話題。かつての名門や、昨年の上位校が平気で新入部員ヒト桁。新しくスポーツをさせるときに、野球はお金がかかる。しかもポジションごとにグラブの形も違う。ボールもすぐにすり減る。これはやはり大変。
指導者の問題。怒鳴り声を駆逐していく方向で野球界はおそらく進んでいるのだろうけど、いまこんな時間でも練習をしている高校があるはず。今日だけでなく、明日も。他のスポーツでそういうことがどれくらいあるだろう。野球だけじゃないかと。丸坊主は20年後も高校球児のデフォルトなのだろうか。
高校野球の甲子園大会がいまの日本の野球のピークにあると、僕は思っている。そのあとは意地悪な言い方になるかもしれないけど、惰性。プロはたくさんお金が稼げる世界。でも競技人口も多いし、程遠い世界。高校までが誰もが輝ける可能性がある世界なのだと思う。ある地域では特定の学校がほぼ連続して甲子園に出る。他の学校でチャンスをうかがうために生まれた地域を出て野球をする。
根性、根性で教えられてきた指導者が同じ指導をこの時代でも繰り返す。先進的な技術指導を得ようとすれば、相応のお金がかかる。
ネガティブな話題ばっかり書いたけど、僕は野球が好きだ。いっしょに野球でいい思いを生徒としたい。でも、だ。学校の先生が部活動に本気で関わろうとすると当然ながら大きな齟齬をきたす。本気じゃないと周りからも白眼視。グランドに出られない日があれば正当な理由があっても罪悪感にさいなまれる。黙ってグランドに出れば良い。でも、だ。誰もができることではない。
もしスポーツの競技人口の裾野を広げる役割を学校の部活動がちょっとでも担っているなら、野球はこれからもきっと競技人口の減少は止まらないと思う。僕が尊敬する東海大学付属仰星高校のラグビー部の湯浅大智先生は、中学生もいっしょに高校生と練習をさせている。多くは聴けなかったけど、僕が知らないご苦労があろうかと思う。ただ、こういった大胆な制度の改革が必要だと思う。中学校の野球部の活動に小学生も参加する。中学生が高校に行って練習する。地域の高校の活動への見学、参加は自由。
そんなことをしてたら勝てない? 勝つために僕らは野球をやっているのか。そういう考えは否定しない。でも部活動は違っていいと思う。好きになれる環境が大人のせいで激減していっている現状をもっと真剣に考えないと。公園では球技禁止。中高の交流は禁止。プロとアマの指導の交流はご法度。どうやって野球を好きになるのか。
ウチの練習では個人練習の時間を作っている。ややもすると遊んでいるように見えるかもしれない。でも環境がない子たちがどこで野球をするのかというと、結局学校の部活動という場でしかない。顧問は会議や出張で指導に出られない。そんな日もある。でも、愛想を尽かされそうになるかもしれないと思いつつ、やっぱり練習をする。関われる時間はわずか。この現状を変えようとする人たちもいるけど、僕はまずこの環境でのベストを考えている。四の五の言わず、黙って練習やってやればいいねん。僕はもうそんな意見に全く魅力を感じないし、一切与しない。野球が好きで入ってきた子が引退したあとに野球が嫌いになって卒業するなら勝ち負けに必死になる日々もむなしい。
何のために野球部の顧問をやっているのか。野球が好きな子が減っている現状を、現状維持でしか考えていない指導者は淘汰されてもいいと思う。できることは限られているので、他の人に何を言われようがまっすぐやっていきたい。

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