2021年10月18日月曜日

言ったあとで困るのは誰だ

「野球部の教科書」という小冊子をせっせと配っていた時期がある。自分は良かれと思ってやっていたけど、これを真似てやって、困るのは誰だろう。そういうことを全く考えず、ここ数年いた。本も書かせてもらったし、原稿もいくつか。せっせとせっせと、僕は自分のために書いていたような節が正直ある。いい気になって書いていた。今思えば本当に拙いものばかりだ。

僕ぐらいの教師の小さな成功譚でも、学生や若い人にはプラスになる。それが方法だけ抜き取られ、それを実践した人たちが待っているものは。今日はそれに言及したい。その人のオリジナルは結局その人のものでしかない。集団も違うし、それにいたったマインドも違う。それなのに、うまくいったことをテクニックめいて披露することで、やっぱりやりたくなる人が出てくる。場合によってはそれを望んで発信する。これが実に怖いことなのだ。

方法の真似のあとで待ち構えるのは自分の本質を問われる出来事に直面することになる。ドラえもんの道具でうまくいったあとにのび太が持て余して失敗してチャンチャン。漫画ならそれでいいけど。こと先生の仕事の先に待っているのは子どもたち。手柄をツイートして、せっせと原稿を書いて。ちょっと僕はそれが怖くなったので、しばらく離れたほうがいいなと思うようになった。高校の先生になりたいというのもあったけど、言いたいことはだいたいうまく伝わらないもの。小さな集団で有名になっていい気持ちになるのは悪いことじゃないけど、いいのかなーという気持ちもある。

言ったあとで困るのは誰なのだろう。GIGA構想の実践のただ中だけど、大切なものは変わらない。僕はそれを地でいくように、生徒と接したいし、心根に迫る話がしたい。挫折なんかしょっちゅうだ。そういう大切なものを言葉にできるような、日々の実践をしていきたいと思います。

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